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「『飲み会だから、
伸びてるんじゃない?』って言ったら、
『でも、
遅れるっていう連絡もないから』
って戻ってきてさ」
ホームに向かいながらあっさり付け足す。
「ようは、もうだいぶ遅かったし、
女の子が一人で帰るのは危ないから、
帰る時間に合わせて、
迎えに行こうと思ってたみたいね」
「そんなこと一言も言ってなかった!」
考えてもいなかったことを、
次々と聞かされて、
あたしの頭はショート寸前だ。
それとは正反対の涼しげな表情で、
淡々と美悠は話を切り出す。
楽しげで、それでいて少し呆れたような口調だった。
「だから、いい加減に慣れなさいよ。
だいたい男って生き物は、
女よりも口下手なのよ。
あんたが勢い込んでしゃべったら、
樹くんが口挟む間もないじゃないの。
すぐ電話切ったって、
自分でも言ったじゃない。
彼の言い分を聞く間も与えずに、
切っちゃったんでしょ」
「そうなの、かなぁ」
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