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「そんなに嫌なら別れちゃえばいいじゃん。
結婚しているわけでも、
それこそ子供がいるわけでもないんだし」
あたしと樹が付き合う前からの、
共通の友人・美悠(ミユウ)は、
ときどき冗談っぽくそんなことを言う。
実際、喧嘩をするたびに、
今度こそ別れようかと考えながら大学へ来るのだけれど、
結局、そのまま何かに流されてここまで来てしまった。
正直に言えば、あたしは、
自分が樹と別れたいのかどうかも、
よく分からない。
「分からないうちは、
別れなくていいんじゃないの?」
そんな美悠の助言に従って、今に至る。
今のあたしには、
どうしても決められないからだ。
分からないということは、
別れたくはないということなのかしら。
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