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「残念だけどそんな特技はありません。
あんた、顔に出やすいって、
自覚ないの?」
そう言われてしまえば、
何も返す言葉がない。
どうせ、分かりやすいですよ!
「まぁまぁ、そう拗ねずに。
今度はどうしたの?」
拗ねかけたことまで言い当てられて、
本当に拗ねてやろうかと一瞬思った。
けれど、思えばこれも美悠の手だった。
美悠は時々こうやって、
あたしをからかって遊びつつ、
でもあたしの話
(むしろ愚痴)を聞いてくれる。
「だって、うるさいんだもん」
「樹くんね」
美悠は穏やかな声で、
あたしの彼氏兼同居人の名前をあげる。
質問ではなく肯定的に。
この先も読めているのかもしれない。
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