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その仕草にドクンって胸のずっと奥が響いて、思わずうつむいた。
10年前…高校生の時。
学ランとセーラー服だった私たち。
裕がネクタイを緩める姿を初めて見た私は、
たったそれだけのことなのに、プライベートを知らない今は、なぜかその仕草がかっこよく見えてしまって
バカみたいにドキドキしてくる。
はぁ…まいったな…。
「ほらっ」
「ありがと…」
コーラのペットボトルを私に手渡して部屋を出ていこうとする裕。
「シャワー浴びてくる」
「・・・うん」
私は視線をコーラに向けたまま、ただうなずいた。
部屋を出て行った裕は
半分閉めかけたドアから
顔をのぞかせてくる。
「一緒に入る?」
「ば、ばか・・・」
自分でもわかるほど体が火照って真っ赤になった私を見て、
裕は意地悪く笑うと今度こそ部屋を出ていった。
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