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桜子は私にお茶を差しだし、私はそれを一口もらう。
優子「それで?さっき言ってたその『パチンコ勝負』って何?」
私が切り出すと、桜子は急に沈んだ表情を浮かべる。
桜子「うん……その前に、どうしてそんな勝負を頼んだのか…話すわ。実はね…」
桜子は悲しげな表情を浮かべ、ぽつりぽつりと話した。
元々彼女と家族は隣町の『塚内町』に住んでいて、そこには修理工場兼自宅があったらしい。
しかし、父親が友人の借金の連帯保証人になっていたのが原因で、工場が担保に入ってしまい追い出されたという。
桜子「お母さんも、通帳を持って…何処かに行っちゃったの」
優子「……そっか…」
深い事情すぎる。私以上に重たい悩みだ…
桜子「それでね?借金の相手が『パチンコ勝負』を持ちかけてきたの。その勝負に勝てば、工場を返してくれるって」
優子「それで私に……って、スゴく責任重いじゃない…。どうして私にそんな頼みを?私が暇そうに見えたから?」
桜子は慌てて否定する。
桜子「優子…なんていうか…いつだって堂々としてて…。貴女なら、なんとかしてくれるんじゃないかなって…」
なんと身勝手な……
だけど、桜子の表情は…ひどく悲しげなまま。
彼女にとっては……わらにもすがる思いなのだろう…
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