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「っ、く……!!」
「ボサッとしてんな!!しっかりしろっ」
押されているわけではない新撰組
だが、しかし万里の動きは鈍い
土方の怒声が響く
そこで気がついた
……沖田さんが、居ない――……?
「あ、あの……っ」
自分の隊の組長である沖田が居ない
それだけではない、一番隊が自分以外誰もいないのだ
まさかはぐれたのか、と不安に駆られ土方に聞けば
「あぁ、一番隊は近藤さんに呼ばれた」
さらり、と告げられた事実に万里の顔は青くなる
まさか命令を聞いていなかったとは……
焦った万里は土方の袖を掴み冷や汗を流した
「ひっ……土方さんっ!?み、皆さんは何処へ……」
「あ?心配すんな
お前は俺の傍にいろ
お前だけは別だ」
言った相手が返り血で朱に染まってなければ思わずきゅんとなる台詞だが、ここは戰場
そういう訳にもいかない
「……別?」
「あぁ、近藤さんはお前以外の一番隊を引き連れて何処かへ向かった
つか、そんなことよりキビキビ働きやがれっ
まだ休むヒマはねぇんだよ」
何か引っかかる
しかし敵はまだ途絶えてはいない
万里は数回、頭を振ると土方の言う通りただ、向かってくる敵を薙ぎ払った
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