第17章 利用する目的

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――…… 一方、万里を除く一番隊は近藤と共に鷹司邸付近にやってきていた 「いいか、ここには長州の久坂・寺島、それに入江がいる 何としてでも討ち取れ 自害などさせるな」 何故、近藤がそんなことを知っているのか 戦場特有の雰囲気に高揚する一番隊は疑問を抱くことなく標的となる人物を探す 限られた場所を捜索するのは容易いこと 久坂、寺島を見つけた一番隊は二人の嘆願の言葉を聞くことなく討ち取り、沖田は単独で逃げる入江を追う 「もう、逃げられませんよ」 袋小路に追い詰められた入江は抵抗するもあっけなく敗れ、その命を落とすこととなった 三名を討ち取った報告に近藤は満足げに微笑む その頃には戦も終結に向かっていた だが、その後長州勢は長州藩の屋敷に自ら火を放ち逃走を謀る 会津勢は長州藩士の隠れ家であろう家屋を攻撃 この二箇所から上がった火の手が原因で京の町は大火に覆われた 一条通から七条という広範囲にわたり、民家や社寺など多くの建物を焼失する のちに「どんどん焼け」と呼ばれるものであった 藩主様を、ひいては京の町を守ろうと奮闘したはずなのにその被害はあまりにも大きく 恐らく長州側が失ったものも大きいだろう 戦が終わったというのにどこか陰りを見せる万里 先程、沖田にも詳細を聞いた 自分が話したことで自決することさえ許されなかった三名 新選組の手柄にしたかった近藤の気持ちも分からなくはない 変わった歴史はほんの些細なこと それでも――……
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