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――……
蛤御門の変、または禁門の変と呼ばれる長州藩士の反乱、鎮圧は終わり――
この政変で新撰組は大きな功績を残した
長州藩士数名の討伐に加えて、残党の処理に貢献したことは会津藩の中でも高評価を得ることとなる
この日を境に近藤はお偉方との付き合いが増え出した
会津藩主である松平容保公からの称賛はもちろん、様々な武家や各方面からの誘いを受け、忙(セワ)しなく出かける日々が続いた
近藤にすれば願ってもないこと
ただの貧乏道場の主からまるで武家の仲間入りが出来たような感覚
その感覚は次第に近藤の神経を麻痺させる
新撰組内部のことをおざなりにするだけではなく、手の空いた者を家来のように引き連れ出歩くようになったのだった
それと同時に頻繁に万里の元へ訪れるようになる
その内容とは
今後どのようなことが起こるのか
先の世を知るための術【スベ】としてだった……
毎日のようにやってきては『今日は何が起こるのか』と、尋ねる近藤だか万里とて事細かな歴史を把握してるわけではない
返答できる事は数知れていた
今日も万里の元へと近藤がやってくる
万里が困ったように何かを伝えれば、肩を落としあからさまにがっかりした様子の近藤
そんなやりとりを訝(イブカ)しげに遠目から眺めるものが一人――……
「……」
「お、どうした?新八」
「ん?あぁ……いや……
最近近藤さんはよく万里のとこにくるなぁ、と……」
不意に聞かれ返事をするが、視線は二人に注がれたまま
「あ?そういやそうだなぁ」
「なんか……万里も様子がおかしい……」
「気になるなら本人に聞いてこいよ」
「それは……そうなんだが……」
原田が促すもどこか踏ん切りが付かない様子
やれやれ、と首をすぼめた原田
近藤が去っていくのを見計らって……
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