第17章 利用する目的

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「おい!?左之っ」 「は、原田さん!?一体何を……!?」 真っ暗闇の中、必死に叫ぶも返ってくるのは非情な言葉 「うるせぇ、お前ら見てて苛つくんだよ 土方さんには上手いこと言っといてやるから気にすんな しっかり話ができたら出してやらぁ」 扉の向こうで『じゃーなー』と去っていく足音 「「……」」 残された二人は唖然とする 「どうしよう……」 あまり良く見えないが、恐らく今の万里は青白い顔をしているのだろう 「あの野郎……無茶苦茶だな」 永倉は諦めにも似た溜息を吐けばその場に腰を下ろした 「ま、なんだ ちょっと強引?なとこもあるが、アイツはアイツなりにお前のこと心配してるんだろ まぁ……それは俺も同じなんだけど……」 うへ、とおかしな笑いを漏らせば隣に座るように促す 「で、実際どうなんだ?」 「どう……と、言われましても……」 「せっかくなんだし、全部喋っちまえよ お前が抱えてるモン」 永倉や原田の気持ちは嬉しい しかしどこまで話していいのか分からない 暫くは黙っていた万里 それでも信用してみたい 仲間である人たちを 自分を心配してくれる人たちを これからもきっと近藤は聞きに来るだろう 先の出来事を 一人で抱えるのは大きくなりすぎた悩み事 万里は意を決して口を開く 「あの……ですね――……」
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