第17章 利用する目的

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「大体なぁ、最近の近藤さんはおかしいんだよ 功績が認められたからって御家人気取りで供揃え…… 有頂天になりやがって…… 俺らは同志であって家来でも何でもねぇ!! おまけに万里を利用!? ますます訳わかんねぇっ」 誰かの手によって、しかも先の見えている戦など何の面白みもない 真相を知ってしまった永倉、ここにきて様々な不満要素が爆発した 焦ったのは万里、思わず先のことを考えフォローしようとする 「あ……いいんです 自分は利用されても……もう慣れましたし、それが当たり前ですから」 焦る万里は苦笑いで余計なことを口走ってしまう これが永倉の怒りに拍車を掛けるとも知らずに 「は!?利用されるのに慣れた!?それが当たり前!?意味分かんねぇよ!! お前だって本当は嫌なんだろ?はっきり言ってやれよ」 憤慨する永倉にいつまでも冷めた様子で『構わない』と言う万里 「……お前さぁ 前々から気になってたんだが 覇気がねぇよな やりたいこととか嫌なこととか…… 自分のしたいようにやろうとか思わねぇの? そんなんで人生楽しいの? 生きてる意味が分かんねぇ」 何事にも全力で取り組む永倉 それとは正反対にまるで空気のような万里 苛立ちからつい、万里に当ってしまった 「人生が楽しい……ですか…… これでもやりたいことがあるからココにいるんですけどね…… それに……永倉さんには分かりませんよ 当たり前のように利用されていた人の気持ち いや、すでにヒトではなかったのかも もはやただの道具と成り下がった自分に好きに生きる道などありませんでしたから それでも ココに来てからはずいぶんと楽しく過ごしているんですけどね」 はは、と乾いた笑いを漏らす万里に『マズイことを言った』と感じた永倉は瞬時に冷静さを取り戻す
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