第17章 利用する目的

13/18
前へ
/406ページ
次へ
「あ……いや……すまねぇ ……俺は、お前には楽しく生きてほしい こんな世の中じゃいつ死んでもおかしくない 特に俺らは命張ってんだ だから……最後に笑って死ねたら、って…… 良い人生だったなぁ、って 俺はいつでもそう思ってんだ お前にもそうであってほしい お前が何かしらの闇を抱えてるのは何となく分かる でもな?その闇がなんなのか分からねぇうちは手助けすらできねぇ ……教えてくれ お前の過去に何があった」 真剣な眼差しで見つめる永倉は本気で万里の心配をしている 今まで出会った人々のようにただの興味本位でないことはよく分かる それでも頑なに口を閉ざす万里 「俺は……頼りないか? 信用するに値しないような男か?」 「ちが……っ!!」 「なら、教えてくれ 前にも言っただろ?溜め込んでたらそのうち限界がくるぞ、って…… お前、そんとき言ったよな? 『簡単に人を信用できない』って まだ……信用できない、のか?」 暗闇に慣れてしまった今、永倉の顔がはっきりと見える 真剣で、それでも自分に信用されていない不安から揺れる瞳に思わず息が詰まる 「っ、」 「俺は……お前の為に なにかしてやりたい ただの自己満足かも知れねぇ それでもお前が……お前の心が楽になるならなんでもしてやる だから…… 一人で抱え込むな」 そういって優しく抱きしめる温もりが心地よくて 永倉の本心が暖かすぎて…… 「っ、く……ふ……」 涙が溢れた――……
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

910人が本棚に入れています
本棚に追加