第17章 利用する目的

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「今度はお前が利用すればいいじゃねぇか こんな風に言ってる俺を お前が生きやすいように利用しろ 俺はお前になら利用されてもいい」 永倉の言葉が頑なだった万里の心を溶かす 「……なが、くら……さん――……」 ――…… 永倉と万里を閉じ込めた張本人、原田はとある部屋の前に立っていた 「……」 声をかけようか迷っていると 「おぉ、左之ではないか そんなところで何をしているんだ?」 「あ、いや……」 「まぁ、入れ」 促され入室した 「で?どうした」 向かい合わせに座るが、どうにも居心地が悪い 「……しかし、なんだか懐かしな お前とこうして膝を突き合わせるのも 多摩にいた頃以来か?」 カラカラと笑う姿は昔と変わらず 「そう……っすね 以前はこうやってよく話をしたもんですよ 新八が、とか 平助が、とか……」 「ははっ、そうだそうだ お前からの話や相談といえば殆どがあの二人のことだったな 最近では皆、多忙でゆっくり話す暇もないもんだ そういやほら、覚えているか?平助がうちの道場に来た頃に総司が……」 「近藤さん」 機嫌良く、饒舌だった近藤だが原田が醸し出すただならぬ雰囲気に思わず口を閉ざす 「なぁ……あんたが何を考えてやってるのか分かんねぇがこれ以上万里を困らせるのはやめてくんねぇか?」 「……なに?」 近藤の眉間に深い皺が刻まれる 「最近よく万里と話をしてるだろ? その度にあいつが困って……泣きそうな顔、してんの知ってるか?」 永倉同様、万里のことを心配していた原田 ようやく皆とも打ち解け馴染んできたのに最近ではまた、見えない壁を作るようになってきた 気にはしていた それでも自分から打ち明けるのを待っていのだが今の状態では無理と判断し 万里のことは永倉に任せ、原田は近藤を止める側にまわった 「あいつ、さ……せっかく馴染んできたのにまた、俺らから離れていきそうで心配なんだ」 「何を言って…… 私は組の為を思っての行動をしてるまで あの娘を困らせるようなことは何一つしちゃいない」 「なら、なんであいつはあんたと話をした後に……」 「そんなことを私が知るとでも!?」 近藤は原田の言う意味が分からず、思わず大きな声を出す
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