第17章 利用する目的

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「あの娘は先の世から来たのだろ?これから起こる全てを把握しているのだろ!? ならばそれを利用する手はない!! 実際あの娘のお陰で天王山では我が新撰組は大きな功績を残したではないか!!」 「そんなことをしていたのか……?」 「そんなこと!?それはどういう意味だ ただ、彼女が知っていることを教えてもらい行動した 結果、松平様から恩賞を受け、多くの藩から称賛を頂いた!! ようやく認められたんだぞ!我が組が!! それの何が悪い!!」 憤慨し、拳を握る近藤の姿に原田は目を丸くする 「……あんたはアイツを利用してまで手柄が欲しいか」 「持っている情報を、分かっていることを利用することに何を戸惑う」 「あいつがそれを望んでいるか?」 「望んでいようがいまいが関係ない 私は組のことを思って……」 「なら……組の一員でもあるあいつのことも思ってやれよ」 これではあまりにも万里が不憫だ 先のことを知り、先手を打つ 万里が本当に望んでいるならここに来た時点で全ての情報を渡していたはず それをしていない、ということは望んではいない そう考えればあの辛そうな顔も納得がいく 原田はそう捉えた だから、やめてくれと頼む しかし――…… 「組の一員?あぁ……確かにそうだな だが、それも『今は』だ 彼女は我々とは住む場所が違うのだろう? 今でこそ共に戦う者だ しかし考えても見ろ あの娘は元々ここには居ない、居てはいけない存在ではないのか? そのような妖の類にも匹敵する者を置いてやっているのだ 知っていることを聞き出してもバチは当たらない むしろ当然のこと」 「な……っ」 原田は言葉を失った こともあろうか同士であり、仲間である万里を化け物呼ばわり 「あの娘だってきっと我々の役に立てて喜んでいるはずだ」 以前の近藤なら、仲間のことを考え仲間のことを第一に行動していた なのに…… 「……近藤さん あいつは……妖でもバケモンでもねぇ れっきとした人間で……俺らの大事な仲間だ」 「あぁ、大事な大事な『道具』……だな……」 くっ、と嘲笑しながら答えた近藤 最後には万里の人格までも否定する…… ダンッ 「もういい!!」 これ以上話をしても埒が明かない 原田は壁に拳を打ち付けその場を去った
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