第18章 万里の過去

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「……うそ」 合格発表当日 万里は呆然とした 自分の番号がない あれほど頑張ったのに 兄と同じ高校に入れば認めてもらえると思ったのに 愕然としながら両親に報告すれば 「やっぱり貴女は駄目ね お勉強も習い事も全て中途半端」 「……所詮、女はこんなもんか 京秀と並ぼうなんて無謀にも程がある」 落胆した両親は娘を突き放す それほどまで言われてもなお万里は失意の底で足掻いた いつか認めてもらえることを信じて 万里が入ったのは全寮制の高校 京秀が通う学校とは違うが、それでも名門と呼ばれるに相応しいレベル 休む間もなく頑張った 常に主席を取り、先生からの信頼も得た 僅かだが友と呼べる者もできた 小さな箱庭で過ごしてきた万里は自分の世界を広げ、それなりに楽しく過ごす しかし…… 所詮は肩書きが左右される上流階級 信用していた友と呼べる者は家柄の繋がりを求め 教師と呼ばれる者は与えられた仕事をこなすだけの存在だと気がついた 信頼していたのは自分だけだと知った 「もう……イヤだ」
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