第18章 万里の過去

8/15
前へ
/406ページ
次へ
「……僕が積み上げた功績を崩さないで お前は僕より前に出てはいけないよ?」 唯一の拠り所であった兄 その兄の口から出たのは思いもよらぬ言葉 味方だと思っていた兄までが自分を否定する 万里は痛感した もう、ここに自分の居場所はないのだと 止めどなく流れる涙をそのままにゆっくりと立ち上がると 「……兄様は優秀だからね」 精気のない眼差しを兄にぶつけた 「きっと私の気持ちは分からない」 限界だった 万里の小さな箱庭はガラガラと音を立てて壊れてしまった 「……兄様なんかいなければよかった」 小さく吐き捨てた言葉 「ばん……り……?」 虚ろだった京秀の目が見開かれる 「私は……っ! ずっと兄様がいてくれたから頑張ってこれた!! でも!……それも今日でお終い もう……いいよ……」 「万里?何を行って……!? ま……てっ!!万里っ」 兄の静止を聞かず、部屋を飛び出した
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

910人が本棚に入れています
本棚に追加