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「……僕が積み上げた功績を崩さないで
お前は僕より前に出てはいけないよ?」
唯一の拠り所であった兄
その兄の口から出たのは思いもよらぬ言葉
味方だと思っていた兄までが自分を否定する
万里は痛感した
もう、ここに自分の居場所はないのだと
止めどなく流れる涙をそのままにゆっくりと立ち上がると
「……兄様は優秀だからね」
精気のない眼差しを兄にぶつけた
「きっと私の気持ちは分からない」
限界だった
万里の小さな箱庭はガラガラと音を立てて壊れてしまった
「……兄様なんかいなければよかった」
小さく吐き捨てた言葉
「ばん……り……?」
虚ろだった京秀の目が見開かれる
「私は……っ!
ずっと兄様がいてくれたから頑張ってこれた!!
でも!……それも今日でお終い
もう……いいよ……」
「万里?何を行って……!?
ま……てっ!!万里っ」
兄の静止を聞かず、部屋を飛び出した
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