第18章 万里の過去

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行くあてなどない ただ、ひたすら走った 夜の闇を 何度拭っても止まることのない涙 すれ違う人々が怪訝な眼差しを向ける それでもひたすら走る 「……っ、はぁ……」 たどり着いたのはいつも万里が過ごす場所 「……ははっ……」 乾いた笑いが漏れる 自分の居場所はここしかないのか 闇夜にぼんやりと浮かぶのは季節外れの桜 いつもここで本を読んでいた 大きな桜の木 万里は根元にすがりつき、ひたすら泣いた 泣いたところで何も解決しないことは分かってる それでも泣かずにはいられなかった 静かに降り注ぐ桜の花弁だけが自分を慰めてくれるようで…… image=492767802.jpg
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