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賑やかな京の町
往来では多くの人が忙しなく歩き
行き交う人々は皆、着物姿
…ま…マジですか…
僅かに離れた雑木林から、そんな様子を覗き見る怪しい人物
キタキタキター!!コレッ!!コレですよ!?
涙を流し拳を握る姿はまさに不審者
憧れを抱いて早や数年、無駄に知識をフル活用…
遂に成功しましたよおぉーッ!!
嗚呼…生きてて良かった……
「母さま、あの人笑いながら泣いてはる」
「しっ!!目ぇ合わしたらあきまへんっ」
…………ゴホン…
さ、さて…お目当ての所は何処かなぁ…
小さな子どもに指差され、その母親に汚物を見るような視線を投げられ…
いたたまれなくなった人物は、大きな荷物を手に足早に立ち去る
その人物―黒い着物に身を固め、色素の薄い髪を高く結い上げて、黙っていれば誰もが目を引く美しさ
……残念なのは己の思考に浸れば、先程の様に違う意味で目を引いてしまう事
そんな視線を気にもせず、目的の場所を探しさ迷った
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