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「だから安心しろトシ!」
「なにがだっっ!!わけわかんねぇこといってねぇでさっさと部屋に戻りやがれ!!!」
親指を立てて大丈夫だと律が言い張れば、ぶらん。と首の根っこを掴まれて宙ぶらりんの状態にさせられる。
「俺は手伝いに行くつってんだろー離せよトシーしつこい男は嫌われるぜ?」
ブチン。何かが切れる音がした。
かと思うと、土方は律をその手に吊るしたまま部屋の中へと戻っていく。
どうしたんだトシ?と律が問いかけてみれば、返事の代わりといわんばかりに部屋の壁にその身を投げ捨てられた。
「っってーなにすんだよっ」
「うっせぇ!俺はてめぇをまだ信じたわけじゃねぇつっただろうが」
「ああ!」
怒りを隠しきれない土方の怒号に、律はようやくわかったぞと言う顔を見せた。
そんな律の表情に、土方は呆れにも似た大きな息を吐き出す。
「んじゃー」
「律!!!」
見計らったようなタイミングで男にしては少し高い声が響く。
大切な幼馴染と似たその声に律は笑顔を見せた。
「"平助が一緒"ならいいよなっ」
土方に首の根を持たれ、宙吊りになった状態のまま、親指で部屋の入り口に立っている平助を指差す。
その言葉に土方は頭を抱え、
平助は間の抜けた声を漏らし、
頭を抱えたことによって離された土方の手の内から律が畳の上に昨日に続き二度目のしりもちをついた。
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