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「ただいまー」
学校から本屋を通ってそのまま一直線に同じほど進んだ所に建つマンションの一室。
自宅であるその場所の扉を開き律は中へと入る。
「ただいま」と発した言葉に応える言葉はない。
家の中はシーンと静まりかえっている。
それが当たり前のように律は気にすることなく靴を脱いで家に上がった。
鞄を自室に投げ込み、リビングに置いてある若草色のソファーに身を沈める。
買ってきたばかりの漫画を袋から出し読みはじめた。
「あーおもしろかったぁー」
まさかああなるとは……とか、やっぱ新八つぁんはかわいいなーとか、ぶつぶつ漫画の感想を呟く。
久しぶりの新巻だったが、やっぱりこの人の作品は楽しい。
窓に視線を向ければ、外は夕暮れ色に染まっている。
「よし、着替えてこよーっと」
立ち上がろうと、床に足を付けた。はずだった。
しかし、そこにあるはずの床がなく、変わりに大きな大きな穴が空いている。
立ち上がろうと足を踏み出したものだから全ての体重をそちらにかけてしまい……
「え、ちょっ! なんだこれぇぇぇぇ」
律は呆気なくその穴の中に落ちてしまった。
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