第一話 憧れたモノ

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第一話 憧れたモノ

  春。 銀のフレームで縁取られた景色にはらはらと桃色の花びらが散っている。 リビングに置いた若草色のソファーに座った栗色の髪を持つ女性はペンを紙に滑らせた。 「ん? 何してんの?」 「ちょっと手紙をね」 「手紙?」  きゅっとソファーを挟んで後ろから腕が回される。  聞こえた低い声に笑みがこぼれた。 「うん。過去の自分へ」 ペンを止め窓の外を見る。桃と青のコントラストに目を細めた。 ぎゅっと抱きしめられた温度に身を委ね、瞳を閉じる。 ――ねぇ…… もし貴方があの人に会う時は、どうか、あの人を支えてあげてね。 幼すぎた私へ。
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