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(あの寂しさは何だったのかしら。
他のお客さんが来なくなった時も寂しさは感じるけど。
再来してくれたときに、こんなに暖かくて嬉しい感情はなかった……)
店長もまた、鼻歌交じりにコーヒーを淹れている。
珍しい限りだ。
一人連だけが、いつもと同じように、ぼんやりと立ち尽くしているのだった。
(彼がいる……)
実香は、コーヒーの香りに包まれながら、幸せを感じていた。
「はい、お待たせ~」
白いカップを真っ白な皿に乗せ、銀の小さなスプーンを添える。
それをトレーに乗せ、ミルクを添える。
静かに歩き出す。
コーヒーがこぼれないように、一歩一歩を大切に歩く。
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