11.指定席

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(あの寂しさは何だったのかしら。 他のお客さんが来なくなった時も寂しさは感じるけど。 再来してくれたときに、こんなに暖かくて嬉しい感情はなかった……)  店長もまた、鼻歌交じりにコーヒーを淹れている。 珍しい限りだ。  一人連だけが、いつもと同じように、ぼんやりと立ち尽くしているのだった。 (彼がいる……)  実香は、コーヒーの香りに包まれながら、幸せを感じていた。 「はい、お待たせ~」  白いカップを真っ白な皿に乗せ、銀の小さなスプーンを添える。  それをトレーに乗せ、ミルクを添える。  静かに歩き出す。  コーヒーがこぼれないように、一歩一歩を大切に歩く。  
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