11.指定席

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 テーブルにはPCがところ狭しと置かれ、いつもどおりに彼はPCに向かって考え込んでいるように見えた。 「お待たせしました」  テーブルの端に静かに置くコーヒーカップ。  カップからは白い湯気が、久しぶりの出会いを喜んでいるかのように立ち上る。 「ありがとう」 「お久しぶりですね。忙しかったんですか?」  いつもは、真剣にPCに向かっている彼に、話しかけることなどできなかった。  ところが、久しぶりにあったせいだろうか、実香の口から自然と言葉が流れ出した。 「実は、バイトしてたんです」  彼は照れたように、実香を見た。
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