サクラ色

4/5
前へ
/11ページ
次へ
愛しい存在の声が聞こえたような気がして 少女は、ゆっくりと顔を上げた そこには 懐かしい浅葱色の羽織を纏った かつての、仲間達の姿 「み、んな…」 涙が溢れて止まらない 「総、司…さ、ん」 近づいてきた人物の名を呼ぶ 何よりも 愛しい存在の名を 「もう、いいの?」 「はい…みんなの、傍に…行きたい、です」 差し出された腕に縋りついて 連れて行ってと懇願する そんな少女を彼は、そっと抱き寄せた 「おかえり。悠輝」 「ただいまです。―――…っ総司さん」 少女は幸せそうに 彼は少し悲しそうに 微笑んだ
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加