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「……っ」
すさまじい爆音の中
少女は片足を引きずるようにして歩いていた
「あーもう、皆さん、ひどいんですから」
私だけ、残していくなんて…
苦笑しながら
少女はただ一心にある場所を目指す
愛しいあの人と見上げた
共に生きていくと
二人で誓った場所へ
あの木々達が居る場所へと
この激戦下じゃ
全て焼けてしまっているかもしれない
それでも、それでも…と
少女はただ歩き続ける
歩いた軌跡に紅い、跡を残しながら
皆、死んでしまった
私を拾ってくれたあの人も
愛しかったあの人も
不器用なあの人も
私を好いてくれたあの人も
一緒に馬鹿やって怒られた人も
みんなみんな…死んでしまった
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