星と月

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『本日は夜の空に満点の星空が観測でき、三日月が美しく見えます』 私、紺野美月(こんの みづき)は夜ご飯を食べながら、天気予報を見ていた。 「空…見てみようかな」 私ね、月が好き。 特に三日月が。美月って名前は、三日月から来てるんだ。 あと…もう一つあるんだけど。 私は部屋の窓を開けて外に出る。夏だから夜でも、蒸し暑い。 「…綺麗。…天の川だ」 こんなにはっきり天の川が見えるなんて…。 天気予報士の人が言ってた通り、空一面に星、三日月。 私は隣の窓を見る。明かりは付いていない。 …いないよね…あの人は。 「やっぱり…みーちゃんだね。…暑いね」 「そだね、夏だから。…海君は、学校帰り?」 私がさっき見ていた家の住人の柿原海星(かきはら かいせい)君。 私が通っている高校の先生…担任。歳は22歳。…私とあまり変わらない。 「みーちゃん。そっち行っていい?」 ベランダを指差す海君。断る理由が無かったので私は首を縦に振る。 1分もしない内に部屋へ上がる海君。 「お邪魔します」 「うん。どうぞゆっくり」 私はベッドに腰掛け、海君は勉強机の椅子に座る。海君が先生になってから緊張してしまう。 敬語を使わないといけないとか。 「ねぇ、みーちゃん」 「ん?何?」 「何か考え事してた?」 「どうして?」 「…昔から嫌な事とかあったら、ベランダへ出て星見てたから」 …当たりです。 最近ね…ずっと考えてる。 「もしかして…流星の事?」 「うん…あれから2年経つなぁって。どうしてるかなぁって、会いたいなぁ」 …素直な気持ちが丸出し。 「会えるよ」 …海君?ドヤ顔しないで下さい。 「明日、帰って来るから」 「…ほ…んと?」 「本当」 …海君の目が嘘をついていると目じゃなかったから、本当だ。 「明日、楽しみにしといて」 「…うん」 海君は、手を私の頭の上に置く。 …大きい手。 色々気になる事はあったけど、海君が全てを消し去ってくれたみたい。 「おやすみ、みーちゃん」 「おやすみ、海君」
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