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「起きて~美月」
う、うるさいお母さん。
寝起きに大声は厳しい…。
「今、起きました」
私は部屋着を脱いでワンピースに着替える。
「おはよう」
「おはよう、新聞取ってきて」
…朝から人使いが荒い。
私は渋々玄関を開けて外へ出る。
私は目を疑った。
まだ、眠りから覚めて無いんだって…。
「ただいま、美月」
「…お帰り流星。…本物?」
流星は黙って頷く。
海君の言ってたことはやっぱり…本当だったんだ。
「…美月」
「………」
流星はゆっくり私に近づいて来た。
私は金縛りにあったかのように固まったまま。
…流星。
会いたかったよ。…言いたいのに声に出せない。
ふっと…視界が暗くなる。
何も見えない。
「美月、会いたかったよ」
「バカ…私だって…会いた…かった」
流星がわたしを優しく包み込む。余りにも優しかったから涙が出そうになる。
「彼氏がいたら…ゴメン」
「どうして?」
「んー。ただの幼馴染のクセに抱き合ってるんだから」
彼氏なんでいないし。
…ただの幼馴染ねぇ…。少なくとも私は、そんな風に思ったことは無い。
まあ、私の気持ちなんて流星は分からないだろうけど。
「彼氏いない歴、この前の誕生日が来て16年です。だから…このままでいて」
流星は返事をする代わりに、抱いている腕を強くした。
ピロリーン
携帯のメール音。
私じゃない。だって…この音じゃないから。
「…見ないの?」
「うん…イイよ別に」
私的には離して欲しくないけど…見てあげないと、相手に失礼だよ。…だから私は力付くで流星の腕から体を離した。
…ビックリしないでよ。
「…じゃあ」
「……」
誰だよこんな時に…。
2年間会えなかったんだから…再会に浸らせて。
「あ…」
「何?」
「…いや…別に…ね」
…そこまで言われたら気になるでしょ。今まで隠し事なんかなかったのに。
やっぱり…2年間の間に色々あったのか。
流星は、私に携帯を見せる。
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