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門出の朝は、心地の良い快晴。
きっとこの暖かい日差しは、冬の名残である道路の雪をゆっくりと解かしてくれるだろう。
「ママァ!早く学校に行こう!!」
「ちょっと待って。
おじいちゃんがカメラを持ってきてくれるから。
お家の前で写真を撮ってから出発するよ。」
小さな体に不釣り合いな紺色のランドセル。
重たいそれを背負いながら、庭に残っていた残雪で遊び始める息子。
従兄妹の息子からお下がりで貰った子ども用のスーツは、このままだとすぐ泥だらけになってしまう。
私は彼の背後に近付き、雪遊びに夢中になる息子の体を優しく抱き上げた。
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