自動販売機の憂鬱。

2/5
前へ
/5ページ
次へ
もうすぐ夏。 俺の中身もすっかり『つめた~い』になってしまった。 俺が誰かって? せっかちだな。 まぁ、俺が誰かなんて見てればわかるさ。 「あー、暑いな」 手をウチワみたいにパタパタとさせる坊主頭の少年。 仮にA君と言う事にしよう。 「今日は特にハードだったからな」 タオルで汗を拭いながらちょっと背の高い少年は答える。 A君ときたらB君だな。 ターゲット:部活を終えたジャリ。 俺の推測だと中学生だと見た! ターゲット、ロックオン! 「お! こんなとこに自動販売機あったか?」 A君が物珍しそうに俺をペタペタ触る。 気安く触るんじゃない! あんまり気安く触ってるとその坊主頭ジョリジョリと触っちゃうからな! ……気持ちな。 「置いてくれたんだろう? 粋だなぁ」 B君は俺を褒める。 ふふふ……。 さすらいの自動販売機は何処にでも現れるのさ。 「オイ、これオール100円だぜ」 俺に表示されてる価格を見てA君は喜んでやがる。 ふ。 単純な奴め。 俺は増税されてないんだぞ。 「珍しいな、今時……」 そうだ。 俺を崇め! 称えろ! 感謝しろ! 三つ指ついてひざまずくがよい! 「あー。 外れ」 俺の中心部についてる買ったら回るアレ……スロットって奴を見ながらA君は嘆く。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加