chapter 1 JK殺人事件(探索編)

10/27
前へ
/497ページ
次へ
 ※  リハーサルどおりの道順で、バスまでは辿り着く。同じ制服が並ぶ中にまぎれる。  がやがやとにぎやかな学生たちの中で、あたしを見つけて声をかけてくるヤツは今のところナシ。友達がそもそもいないのか、いるとしても同じ方向から通っていないのか、今のところはまだ不明。  バスに揺られていたのはほんの10分ほど。地図で目測で測った距離からそのくらいかなと思ってはいたから、想定内。  降りたバス停の名前がそもそも学校名だけあって、校門、すぐそこだ。見えてる。歩いて30秒といったところか。……というか、周りにそれ以外の建物がほぼない。こんもりした森の中に突然現れる無機質な真っ白い建物。  なーんか、隔離病棟みたい。いやまあ、ある意味ではそうだと言えなくもないかな。心配性のセレブな親御さんたちは、学校の周りに学生への誘惑があるよーな場所よりはこっちの方がお好みなんだろう。  で、お約束のようにベンツ(たぶん)がいる。数台。高級車の縦列駐車とか、庶民のあたしから見るとギャグにしか見えないんだけど。っていうかそもそも、1車線道路で縦列駐車すんごい迷惑なんですが。まあ住人と呼べる人はいなさそうだから苦情も出ないんだろうな。  そしてその扉から、なんだかロボットみたいにみんな似たような優雅な動きで生徒が降りてくる。いかにもお嬢様然とした女生徒ばっかり。何このステレオタイプ。見慣れてないと不気味すぎる。でも生徒どうしにとってはおそらく毎朝の光景で、わざとらしい笑顔で挨拶交わしながら校門に向かい、車は走り去る。  で、その空いたスペースに、自動車工場みたいに別の高級車の縦列駐車がまた出来上がり。  ……うわーもうカンベンして。教室に入る前からげんなりしてきた。  生徒の流れに乗っていればゲタ箱の位置には迷わない。生徒手帳で自分のクラスは把握しているけど、その教室が実際はドコなのかは不明。上履きで校内に入って、長い廊下に目をやると、特別教室や職員室らしき場所の表記しか見当たらない。生徒も1階をそのまま進む人が誰もいないので、教室は2階より上にあると判断する。階段を昇る。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加