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休み時間は特に誰からもちょっかい出されることがなかったので、都ちゃんぼっちじゃないかも、は取り消しておかねばならないかも。ぼっちかも知れない。
ただ、まあ、あたしの場合はそれは悪いことじゃない。それまでの積み重ねに応じた空気を読んだ反応ってやつが今のあたしには出来ないワケなので、本読んだり寝たフリしたりでごまかしながらクラスの雰囲気をつかもうとする。
そもそもあたしがここに放り込まれているということは、あたしが「召還された」理由がここにある、ということでもある。のほほんと高校生活をエンジェイするのがあたしの存在理由じゃない。探さないとならない。あたしを呼んだのが、誰なのか。
──そう、あたしは呼ばれる。誰かの願いによって、呼び出されて、生まれる。
いつからこんな風にさまよっているのか、その始まりはもう記憶の彼方なのだけれど、あたしは誰かの強い思いによって生を享け、誰かの強い思いによって死に至る。主に、誰か別の人間の死を肩代わりする形で。
たいていの場合、だから、その「誰かの願い」は、肩代わりされる側の人間に死んでほしくない、という内容がほとんどだ。
あらかじめ文書で通知されるワケではないので、詳しく「この人」というのが判っているケースはなくて、あたしは、「生まれて」から世界に探りを入れて、死を探す。「1周目」はそれで終わる。
「探索編」とかゲームっぽく呼んでみたりする最初のループは、とにかく観察が第一だ。
クラスの、引いては恐らく学校全体もそうなんだろうけど、男女構成比がちょっといびつ。男子もいることにはいるんだけど、圧倒的に女子の方が多いのだ。
元々松稜は、中高一貫校で、相当なお金持ちが通う学校、というイメージがある。これは何度かこの街に生まれている間に覚えた基礎知識の1つなんだけれど、入学金も学費も結構な高額だったはずだ。
松稜学院の卒業はこの街の住人にとってちょっとしたステータス。それなりの「家柄」である、みたいな証明として。特に女子は、ここを出てると一端のお嬢様と見なされたりする。今は時代が時代だから、ここにいる女子高校生たちがみんな世間知らずのお嬢様ってワケじゃないんだけど、でも、そんなレッテルの学校なんだ。
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