chapter 1 JK殺人事件(探索編)

2/27
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/497ページ
 あたしは目を覚ました。  ぐいーっと伸びをして、部屋を見回す。うん。まあ、通常運転ってとこだ。  オフホワイトの味も素っ気もない壁紙に囲まれた部屋には、木目調の味も素っ気もない家具と、スチール製の味も素っ気もないベッド、木製の味も素っ気もない机が置かれている。  ペールオレンジの味も素っ気もないカーテンと、白の味も素っ気もないレースカーテンをまとめてパアッと開け放つと、見事に味も素っ気もない住宅街が外に広がっている。  どーやら、「前回」と同じ場所だ。手間が省けた。  ただ、住んでる場所が一緒でも、自分の職業が一緒とは限らないので、結局はイチから学習し直しなんだけど……「住んでる場所に土地勘がない」という怪し過ぎる状況にだけはならないで済むだけ、ヨシとしましょう。  机の上に鞄が放り出されている。ありがたいことに学生鞄というやつだ。  学生である、というのは、あたしにとっては大変に楽なんだ。学校の場所ってのは調べるのがカンタンだから。社会人に「生まれて」しまうと、職場がそもそもドコなのかを調べるだけでエライ苦労を強いられることになる、ことがある。  スマートフォンもあった。最初にお天気サイトにアクセス。と言っても目的は天気じゃなくて、日付だ。アクセスログを調べられるなんてことがあった時、朝イチにお天気調べてる分には怪しまれないっしょ? まァそんなカンジで、今日がいつなのかを確認するのに、あたしが使うのは天気情報サイト。  あたしが「死体」になった時には、ケータイやスマホのログはケーサツに漁られるの確定だしね。いくら調べたって何も出て来ないんだけど。あたしを調べる皆様は大変だ。  ……ふむ。10月ね。いい季節。スマホがあるってことは、あんまり昔に戻っちゃいないんだ、とは理解していたけど、この機種だと……震災よりは後かな。そうだね。  よし。確認完了。日曜日なのでとりあえず、遅刻を心配する必要はなくなった。  次は自分の立場。鞄を開ける。手慣れて来たあたしは、小さめの外ポケットに生徒手帳と学生証を……うん、入れてある。定期も。グッド。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!