chapter 1 JK殺人事件(探索編)

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 あ、あと息もしてない。もちろんしゃべるためには空気必要だから、吸ったり吐いたりする仕組みは持っているんだけど、それ以外の時には息止めててもぶっちゃけ死なない。潜水は得意だ、たぶん、やったことないけど。  ただ、人間としての生理現象のほとんどが止まっちゃってるこの状況は、あたしの「死」までの間だけ。あたしは死ぬ直前に、自分では「殺戮ハニィポット」って呼んでる特殊な能力を「発動」するんだけど──あーいや、死ぬために発動する、と言うべきかな?──その時に一斉に、凍っていた体内時間が動き出すカンジ。  だって、そーじゃないと、刺しても血ィ流れないし、首絞めても窒息しないし。あたしはそこで死なないとならない。そして死ぬためには、必要なのだ、生理現象が。ソレを強制停止させるのが、殺すってことなんだから。  だからまァ、あたしは、結局、生きてナイのよね。この世界では。ムリヤリにネジ込まれた異分子。そんなことは理解してるんだけど、たまにはこー、10年来の親友みたいなの、憧れるキモチもないとは言えない。誰にもグチ吐けないっていうのは辛くなる時もある。吐いたって誰にも理解してもらえないんだから、しょーがないんだけど。
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