第1章 声

4/10
前へ
/47ページ
次へ
琉可は、はぁ、とひとつため息をついた。 やはり早々に切り上げよう。 そう思い席を立とうとする琉可を、気づいた母が必死に止める。   「お願いやから、大人しくしとって!せめて、もう少し目立たないときに出て、ね?」   「……この頭じゃ、何やっても目立つやん」   そう言って琉可は自分のきれいに色の抜けた金髪をつまむ。ショートボブにゆるいパーマがかかっているため、毛先がかすかにきらめいた。   「……やっぱ出る。終わるまで外、ぶらぶらして…「それでは!歌っていただきましょう!」」     琉可の言葉に司会者の声が重なった。  
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加