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母の制止を振り切って立ち上がろうとした琉可は、ステージのあたりから響いたギターの音に足を止めた。
広い式場に響く弦の音。
重なる声。
思わず振り返った。
(誰やろ……あのひと)
先ほどの友人たちの余興とは違った演出だった。新郎新婦から少し離れた小さめのステージで、アコギ1本抱えて歌う1人の男。新郎の友人か何かだろうか。
静まり返った会場に、男の声が響く。
君を彩る全ての要素を
僕が守ってみせよう
何があっても
傍にいよう
君が悲しむ全ての要素は
僕が奪うから
ありったけの愛を
愛を
愛を
切なく響く声に、胸が締め付けられた感じがした。その音と声に揺さぶられて、気づけばその男を凝視していた。
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