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「あんたもユカリちゃんにご挨拶せんと!」
「はぁっ?!挨拶とかせんでええて、わたし帰るし!」
「よかけん、来んね!」
有無を言わさず連れて行かれると、薄いピンクの、煌びやかなドレスを着た女性が振り返った。母を認めて、微笑む。
「ユカリちゃん!」
「おばさん!今日はありがとうございました」
「いやいやよかとよ、私が来たかっただけやけん。ほんとうにおめでとうね。幸せになって。それでね、」
母の陰に隠れていたところを、突然ぐい、と前に押し出された。目の前には、長身で黒髪をひとつにまとめ、とにかくきらきらしたとびっきりの美人が立っていて、押し出された拍子にばっちり目が合う。
「この子、娘の琉可。覚えとるかなぁ~、何度か会ったことあるんやけど」
「ちょっと!お母さん!」
「琉可、ほら挨拶!シャキッとして!」
はぁ!?と思いながらもう一度ユカリを見る。にこ、と微笑み返され、右手を両手で包まれた。
「琉可ちゃんやろ!覚えてるで、めっちゃかわいかったしな!今大阪の大学通ってるんやて?」
美人花嫁の口から出てきたいきなりの関西弁に圧倒されながら、そういえば大阪出身やったなぁとぼんやり考える。相変わらずにこにこ綺麗に笑う彼女には、些か似合わないようだけれど。
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