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裕一郎 side
結局、俺は自分が一番大事なんだろうか…。
守るべきはずのものを、
手放してもいいと思えるんだろうか…。
行くと決心したということはそういうことなのか。
いや違う。
大切なのは…あいつ。
なのに、そうはさせないとするもう一人の自分が、顔を出してくる。
弱音を吐けば、麻衣と離れたくない。
四六時中、俺のそばにいて欲しい。
誰が邪魔なんて思うかよ。
だから嬉しかった。
麻衣が一緒に行くって言ってくれたとき。
嬉しくて、思わず着いて来いって、
言葉にしてしまいそうだった。
だけど、
友達もいない。
家族もいない。
言葉さえも通じない異国の地。
まして俺が一緒に住んでやることもできない現状で、麻衣に辛い思いをさせるのは目に見えてる。
俺の都合のために、そんな思いはさせたくなかった。
俺は、1年あいつから離れていられるだろうか…
一人で考えていた時より
今日麻衣と直接話しをしてみて、
その答えがやっとわかった。
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