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『何を騒いでいる?』
静かな声が響いた。オミが顔を上げるとそこには三人の少年が立っていた。自分より少し年上に見えるその少年たちに男が跪いた。
『なんでもございませぬ。今すぐに片づけますので…』
そう言って男はオミに忌々しげな視線を向けた。男が立ち上がろうとしたとき、少年が口を開いた。
『片づける?俺にはこの少年は人間に見えるが、お前には物に見えるのか?』
先頭に立っている少年の言葉に男は何も言い返すことができなかった。
『ナオキ』
少年は後ろに立つ背の高い少年に目配せをした。ナオキと呼ばれた少年はオミに近づくと手を翳す。オミは恐怖のあまり身を竦めた。
その様子を見たナオキはオミの前にしゃがんだ。オミは恐る恐る目の前に座ったナオキに目を向ける。
『大丈夫か?』
優しいその声がオミの涙を溢れさせた。オミは震えながら小さく頷いた。
『何があったのか話せるか?』
先頭にいた少年がオミに近づいてきて言った。オミは小さな声で話しはじめた。
『兄者が軍神殿に仕えるための鍛錬にこの国に…。でも俺は兄者がいなければ生きていけませぬ。一人では生きてなど…だから俺もこの国に入りたくて…』
オミはそう言って涙を拭った。
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