第一幕

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ナオトはオミに歩み寄り手を差し伸べた。その手を恐る恐る掴むと、ナオトは力を込めオミを立たせてくれた。 『オミ、もう一度聞く。お前は厳しい鍛錬についていける自信はあるか?』 オミはナオトの目を見つめはっきりと言った。 『俺は兄者の傍にいられるのなら、どんな辛いことだって耐えられます。兄者がいなくなることが、俺には一番恐ろしいことなのです』 その瞳に浮かぶ意志の強さ。ナオトはオミに頷いて見せた。 『ナオキ』 『御意』 ナオキは名を呼ばれただけでナオトの意志を汲み取った。スウェイがオミに近づき頭に手を置く。 『ナオキ、このものの兄の名はリュウジだ』 スウェイは足早にその場を離れたナオキの背中に向けてそう言葉を投げかけた。ナオキは片手を上げることで返事をしてみせた。 『何故、兄者の名前を?』 オミが呟くとスウェイはにやりと笑った。 『勘だ』
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