第一幕

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ナオキはすぐに戻ってきた。その後ろには一人の少年の姿。オミはその姿を見たとたん走り寄って行った。 『兄者―』 『オミ?』 リュウジは抱きついてきたオミの身体を受け止めた。 『お前、どうして?』 リュウジはそう聞きながらも、その瞳を潤ませていた。泣きじゃくるオミはその問いに答えられない。 だがリュウジには分かっていた。オミの心細さが。辛さが。寂しさが。 それがこれからも続くことがオミには耐えられなかったのだと。 『オミ、一年だけ耐えてくれと言っただろう』 そう言いながらもリュウジは零れ落ちる涙を堪えきれなかった。まだ腕に納まる小さな弟の身体をしっかりと抱きしめてやった。その不安が消え去るように。 『リュウジと言ったか』 一人の少年がリュウジに向かって声を掛けた。リュウジはその姿を見て驚いた。 それはまさしく次の軍神。武神の長となるべき人物だったからだ。 『ナ、ナオト殿』 リュウジはまだ泣き止まぬオミから離れナオトの前に跪いた。 オミも兄の姿に倣いナオトの前に膝をつく。
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