序章

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吹き抜ける風の音がまるで悲鳴を上げているようだった。城跡の様相は変わり果てていた。 ナオトが我を失い解放した能力で、さらに荒廃した姿になってしまった城跡をオミはじっと見つめていた。 オミの唇は微かに震えていた。己の無力さを戒めるかのようにオミは唇を噛みしめる。 ナオトは三日の間眠り続けた。目を覚ましはしたが「武士桜」に向かったナオトは誰の呼びかけにも反応しなくなってしまった。ナオトはその心を閉ざしてしまったのだ。 ナオキは言った。ナオトを庇いサクラが命を落としたと…。 それが事実ならば、ナオトは愛する女性に命を救われ死なせたことになる。軍神として護らなければいけなかった相手に…。 それはどんなに辛いことであろうか。 ナオトの目の前でサクラは消えたのだ。
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