第一幕

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オミは馬の手綱を操ると、丘の上から国を一望した。この場所は唯一国を見渡せる場所。兄と共に敵国に赴く時、必ず二人でここから国の姿を目に焼き付けていた。 敵国での任務。隙あらば命を狙われないとも言えない。己の不注意で命を落とすかもしれない身ならばこそ、愛する国の姿を己の目に焼き付けていこうと兄弟は二人で決めた。 不思議なことにスウェイが張った結界で護られているはずなのに、国の姿が二人の目から掻き消えることはなかった。 オミは国を見下ろしながら思い出していた。 この国に初めて来たあの日の事を…。それは兄との別れの日。そして、ナオトと初めて出会った日。 オミにとって忘れる事の出来ない日の事だ。
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