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「ありがとうございましたっ!!」
紺色のブレザーと赤がベースのタータンチェックの短いスカートに身を包んだ、明るい茶色のセミロングの女子生徒が勢いよく頭を下げながら発した声が、夕日の赤みがかった光が射し込む教室に響く。
女子生徒の前には二人の生徒がいた。
1人はボサボサの髪にだらしなく着崩したブレザー姿の男子生徒。
もう1人は、やや赤みがかった髪をちょこんと右側に一つ括った身体の小さな女子生徒。
「私たちはお手伝いをしただけ。上手くいったのはあなたが彼のことを本当に大好きだから、気持ちが伝わったの」
その女子生徒は、先述の頭を下げる女子生徒に対して、花が咲いたかの様な可憐な笑みを向ける。
「……まぁ、あんたの気持ち伝わってよかったな」
もう1人の男子生徒は、両手でスマートフォンを操作しながら、目線を女子生徒に遣らず、操作するスマートフォンに向けたままでそう言った。
「本当に……本当に相談して良かった!!本当にありがとうございましたっ」
そんな二人にもう一度頭を下げ、女子生徒は教室を後にするのだった。
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