Prologue ~Aquarium~

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久々に見たいい女を前にして、我ながらやる気のないコメントだと思った。 今夜じゃなければ、口説くぐらいしたかもしれない。 いや……。 今夜じゃなければこのバーにすら来なかったか……。 女は気を悪くすることなくクスリと笑った。 「邪魔した?」 「別に。どっちでも。 だからって安心されても困るけど」 ふーん、と面白がるような微笑を浮かべて、女はグラスに口をつけた。 「このお店、よく来るの?」 「偶然見つけて寄った」 「じゃあジンクスも知らないんだ」 「ジンクス?」 「店内にある水槽の中に、一匹だけクマノミがいるの。それを見つけられたらラッキーなことがあるっていうジンクス」
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