第一楽章~出会い~

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その日から、俺は毎週ここへ来ては居眠りをしている。 あのピアノの音色は、毎週金曜日の放課後の時間帯にしか聴こえてこない。 別の日に一日待っていたこともあるが、聴こえてきたのはやはり金曜日だけだった。 音楽室なんてこの大学にあったのだろうか…。 もちろん、誰があの音色を奏でているのか気にならないわけではないが、特に知りたいとは思わない。 もし、弾いているのが四十過ぎの加齢臭漂うおっさんだとしたら………恐ろしすぎて考えたくもない。 俺は純粋にこのピアノの音色を好きでいたいんだ。
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