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自宅に帰って涼一とふたり並んでカレーの下ごしらえをし、仲良く料理を作った。そして食事中に今後のことについて話し合ったのだが、声色に元気がなく、沈んだままで心配になる。
「涼一、仕事のことなんだけどさ。今回は急病ってことで、落とすことにしたから」
「落とすなんて、そんな……。僕は書けるよ、大丈夫だから」
「そんな精神状態じゃ、いいのが書けないって。頼むから俺の言うことを聞いてくれ」
涼一に向かって丁寧に頭を下げた。
仕事に対してプライドのあるヤツだからこそ、締め切りギリギリでも意地で最後までやり遂げようとする。そんなガンコさが、今回は仇になってしまうな。
「分かった。迷惑かけて、本当にゴメンね……」
「何、言ってんだ、今回は俺が人選ミスしたんだ。謝るのはこっちだろ?」
「でも――」
「連載続きで煮詰まってるトコもあったし、ちょうど良かったのかもしれないって。旅行に行ったら、もっといいネタがあるかもしれないぞ?」
そんな風に明るく誘ってみたが、首を縦には振ってくれなかった。
そしてその夜――一緒に寝ると疲れるだろうから、別々のベッドにて就寝。昼間のこともあり、何となく寝付けずにいたら――
「ううっ…ひっ…ん……っ、くっ……」
苦しそうなうめき声が、涼一の部屋から聞こえてきた。慌てて駆け寄って傍に行き様子を見ると、夢を見て苦しそうにうなされてるようだった。
「涼一っ、涼一……大丈夫か?」
抱き起こして身体をぎゅっと抱きしめてやったら、ふっと目を覚ます。
「……郁也さ……どうして?」
「お前、夢見てうなされていたぞ。怖いものを見たのか?」
落ち着かせるように背中を撫でてやると体重を俺にかけて、ゆったりともたれかかってくれた。汗でくっついている額の前髪を、そっと撫でてやる。
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