ピロトーク:不満満載なボク

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「同じ声かどうか検証してやるから。ほら、早く言え」  そんなものわざわざ検証しなくていいのに、細かいトコにこだわるんだから、まったく―― 「……キス、してよ」  自分から強請るようなセリフを言ったことがなかったから、猛烈にハズカシくて横を向いて言ってしまった。 「…………」 「ちゃんと言ったからね。どうなのさ?」  薄すぎる反応にイライラしながら、向かい合った顔に目掛けて文句を言った刹那、腰に手が回され抱き寄せられた身体。うわっと思った矢先に、強引にキスされる。 「……っ……ん……ぁ」  遠慮なく唇の隙間から無理矢理ねじり込み、絡んでくる舌に翻弄されて、思わず甘い声が漏れた。 「やっぱ同じ。すっげーエロい声、出てるけど」 「ちっ、違っ」 「あんなBGM流して今もそんな声を出して、ワザと俺を煽ってるんだろ?」  嬉しそうに喉で低く笑うと、僕をフローリングの上に組み敷いた上に素早く跨る。見つめてくる視線から欲情がこれでもかと溢れまくってて、思わず喉を鳴らしてしまった。  背中はちょっとだけ痛いけど、その痛みすら今は快感に変わろうとしていた。 「俺がおまえのことを大事に思ってるのに、無神経なことばかりしやがって」 「そんな、こと」 「してる、してる。余裕ぶっこいて俺を見てる態度も、すっげームカつくしな」  言いながらTシャツの裾をめくって、直に肌に触れていく。 「やっ、……ぁあ」  余裕なんて全然ないのに――触れられた肌がどんどん熱を持って、身体中で郁也さんを求めてしまう。 「悪いけど今日は執筆させられない。今まで我慢した分、おまえを――」  耳元で甘く囁いたあとで髪にキスを落としてから、じっと僕の顔を見た。  イヤだと文句を言いかけた唇を、しっかり口づけで封印されてしまう。封印された唇に、蕩けるように熱くて甘いキスをしてくれた。  両腕を首に絡めて求めながら、身を委ねていたら――  ピンポーン、ピンポーン!  その音にお互い、顔を見合わせる。  ――無視してほしい!  そう思ったのに来訪者は遠慮なく非情にも、ピンポンを押し続けたのであった。
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