アスティスがお出掛け中なの

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 黄昏が過ぎ行き、夜闇が訪れし頃合の寝所にて、ティルアは一人ぽつんとベッドに腰を落ち着けていた。  二人用のベッドは一人で眠るには広すぎる。  なれど、お相手であるアスティスは近隣国の政治会合へと伴を連れて出てしまっている。  会議の性質上、日を跨いでしまうことは彼から前もって耳にしていた。  眠れないままに時だけが静かに刻み行く中、大窓から射し込む月明かりが鮮明に部屋を照らす。 「アスティス……早く帰ってきて……」  並べた枕の一つを抱えてぎゅっと抱きしめると、枕から彼の匂いがした。  心がきゅっと締め付けられる思いがして、ティルアは布団をがばっと被る。  彼の枕を抱えるティルアの脳裏に、肌を重ね合った熱い夜のことをまざまざと思い出してしまう。 「ん……アスティス……」  彼が残していった寝間着のシャツにスッと袖を通す。  なぜだかそれだけで、彼が近くにいるような感覚がしてくるのだから不思議だった。 「アスティス……」  服をまくり上げ、袖を通した指先を身体の腺に沿わせると、彼の匂いがふっとティルアの鼻を掠める。  情事の際に彼が見せるインディゴブルーの眼差しを思い出し、身体が熱くなる。  ぼーっとした気分に、押し寄せてくる背徳感。  いけないと思いながらも、ティルアの手は下へと伸びていく。  そっと包みを外すと、被った布団のひんやりとした温度が皮膚に届く。 「アスティス……っ、ん」  彼の匂いがついたシャツを抱きしめ、袖を通した指先でまだ閉じられたままの蕾に触れる。  自分で普段触れることのない柔らかな感触が伝わる。指を撫でるように走らせてみると、身体がびくりと震えた。  触れた箇所からとろりとした糸が湧き出てくる。 羞恥と背徳で胸を大きくざわつかせながらも、指先の動きは止まらない。 「……ん、アスティス、……ふぁっ」  ちゅぷっと小さな音がひとつ立ち、指先が埋まっていく。ゾクゾクと背筋から湧き上がっていく興奮とも呼べる愛欲にティルアは身体を震わせ、小さく丸まった。
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