晴天ナリ( ̄ー ̄)

9/39
前へ
/315ページ
次へ
「つ…つかれ…た」 教室に戻った新入生は、皆ぐったりと机に倒れこんだ。 俺は一年組粟組。 一年は粟・芋・瓜の3組だ。 ネーミングセンスを問いたいけど、誰もつっこむ余裕はない。 「諸君、注目!」 いつの間にか担任の先生が前に立っていた。 ボディービルダー顔負けの筋肉を誇張するかのように、腹筋部分がくり貫かれ大きく開いたレザー素材のレスリングウエアのようなのを着用し、その上に新婚の奥様愛用のヒラヒラフリフリエプロンを着ている。 みんな、これまた内心は山のようにつっこみたいけど、疲れと先程の入学式のことがあるから、軽々しく口を開かない。 「諸君らの担任の三斉流 武男(みさいる たけお)だ。担当教科は技巧」 「先生、技巧ってどんなことをするんですか?」 前の方で誰かが手を挙げた。 「最低限の裁縫と料理、他には物作り全般だ。紙漉きから炭作り、陶芸など様々。オールラウンドと言うやつだ」 一日体験であるようなのかな? それにしても、細かな手作業と縁遠そうなのに、この先生は意外に器用なんだ。 「たかが体験程度の技術なのか?と侮っているかと思うが、週一時間でその技術を体得せねばならない。息抜き教科と呑気に構えて油断するな!それらの技術はこれから役立つことばかりだ。腑抜けには即補習が待っている。一時間でマスターしなかったことを後悔しないようにな」
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

336人が本棚に入れています
本棚に追加