336人が本棚に入れています
本棚に追加
「典孝、何部に入ったんや?」
廊下を共に歩く徹平は俺の背中を覗く。
「の…農業部…」
「ぶっ…似合わんな。花も植えたことないやろ?」
「小学校の朝顔や学級畑以外ないよ…。大きな先輩に捕まっていきなり貼られちゃったんだよ」
「あれくらい、逃げらんかいな」
(逃げ…られたの?あの中を…)
驚いている俺に『ここ使わな』と頭を指差す。
「『もう決まってます』言うたらよかったんや。先輩らも必死やから諦めて次探すがな」
「そうか、考えもしなかったよ。でも、毎年あんなことしてるの?」
「さあ、去年はしたようには聞いてへん。あ…」
階段の上でいきなり俺の制服を引き寄せ隠れ『しぃー』と口に指を立てた。
「な…なに?」
「しぃー…黙って聞いとり」
俺は自分の手を口にあて耳を済ました。
最初のコメントを投稿しよう!