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夕食時――――
部活から戻って部屋のプライベートスペースに引きこもっていた俺は、徹平の言葉を思い出し、慌てて生徒達でごった返す食堂に駆け込み必死に探した。
「典孝ぁ~!こっちやこっちや」
「徹平ぇ~!!会いたかったよぉ~」
今の俺にとっては、唯一まともだと思える人物だし、ここで初めてできた友達だ。
半泣きで駆け寄り、とにかくしがみついた。
「なっ…なんやねん?」
「はあ…徹平…落ち着く~。もうちっとこうさせて…はあ…人間ていいなあ」
「は?」
俺は徹平の腰に手を回しギュッと力を入れた。
「なんやわからんから俺はかまへんけど、早よ食わな風呂間に合わんで」
「そうだった!今日はこのあとすぐ一年なんだよな…」
「ほい、典孝の分用意しといたったで」
徹平は自分の隣の席をちゃんと俺のために確保し、食事ももらってきてくれてた。
「は~ん、至れり尽くせり!ありがとう。徹平は地獄に仏だよ」
「えらい大層なやっちゃなあ…」
「あーあ…徹平と同じ部屋が良かったなあ。俺の部屋、俺以外運動部の連中ばかりだから、筋トレの話とかされてもわかんなくってさ。話に入れないんだよね」
『ほう…』とため息を吐く俺に徹平は『嫌なのか?』と聞いた。
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